"富士山麓オーム(オウム)鳴く…"この言葉を引き合いに出して、良く「オウム真理教」と「富士山」は関係を持って語られてきた。
実際に富士山麓にはオウム真理教の関連施設が多かったし、様々な事象もあった。富士市はその主たる地域の1つである。まず(渡邉2009;p.24)には以下のようにある。
1994.4村井が土谷に爆薬サンプルの製造を指示。富士川川口付近でサリンの噴霧実験を行い、中川がサリン中毒にかかる。
この富士川川口(河口)付近とは、富士市のことである。このことは、『富士市史』にも記されている。以下は、平成7年(1995)の富士市議会定例会における意見書の文面の一部である(富士市2018;p.29)。
当市内においても、市民の憩いの場である富士川河口において、サリンの散布実験を行ったといわれており、また、同教団関連会社が大量の化学薬品を違法に保管し、さらに田子の浦港においてサリン製造の実験器具などを投棄するなど、市民の不安が高まっている。
つまり富士市は、サリンが散布された地なのである。また(朝日新聞出版企画室1995;p47)には、以下のようにある。
富士市の貸倉庫から約4万2千リットルのグリセリンが押収された事件では、警視庁と静岡県警が、教団関連の化学薬品卸会社「ベル・エポック」社長の長谷川茂之容疑者(26)を消防法違反(危険物の無許可貯蔵)などの疑いで指名手配。
富士市においてオウム真理教が多く活動していたことは、明白である。地下鉄サリン事件の前に何らかの形で薬品工場だけでも摘発できていれば…と悔やまれる。
平成7年(1995)4月8日『毎日新聞』夕刊一面には以下のようにある。
捜索は富士市水戸島の信者が経営する化学工業薬品会社「ベック」の倉庫▽同市比奈にある麻原彰晃代表が創設したとされる精密機械製造会社「光精密工業」(以下略)
このように、富士市にはオウム真理教の関連企業が位置していた。また9面には以下のようにある。
「大量の化学薬品 富士市の倉庫で中継か」静岡県警が8日捜索した静岡県富士市水戸島の「ベック」の倉庫には今年に入って東京ナンバーのトラックが荷物を降ろし、山梨ナンバートラックが盛んに運び出したり、…
また同年4月9日付の『岳南朝日新聞』には以下のようにある。
富士市内の二ヵ所の捜索も午前7時すぎから開始され、このうち同市水戸島地先にある同教団関連会社の倉庫からは、苛性カリ(水酸化カリウム)および苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の二種類の化学薬品類などが大量に押収された。
また、同市比奈の会社倉庫では、旋盤工作機械があることも確認された。
旋盤工作機械は拳銃の制作に用いられたのではないかと、調査当時に疑われていたようである。このように、富士市とオウム真理教は関係が深かったのである。
富士市では、サリンが散布された事実そのものも忘れ去られているように見える。公安調査庁の特設ページTOPには「記憶の風化を防ぎ、次世代に記憶を継承する」とあるが、少なくとも富士市においては全く継承されていないように見えるが如何だろうか。
- おわりに
現在、富士市の市制施行60周年を記念し、シリーズとして記事の投稿を進めている。20記事くらいを予定しているため、是非ご覧いただきたく思う。
2:「富士地区の「富士」を巡る会話はなぜカオスなのかを考える」
4:「富士市とオウム真理教、富士市におけるサリン散布実験について」
- 参考文献
- 朝日新聞出版企画室(1995)『日本を揺るがしたサリンとオウム』、朝日新聞社
- 渡邉学(2009)「南山宗教文化研究所所蔵オウム真理教関係未公開資料の意義について」『研究所報 巻 19』、南山宗教文化研究所、12-29
- 富士市(2018)『富士市史 通史編(行政)昭和61~平成28年』

0 件のコメント:
コメントを投稿